食は風土と一体

熊本県熊本市植木の花小町の料理に出会い、大きな枠では洋食だけど、フュージョンやイノヴェーティブという言葉では片付けられない。新たらしく生まれた郷土料理に相応しいジャンル名称はなんだろうと数年悩んだあげくに辿り着いた言葉が「ガストロリジョン(gastro region)」です。

 「ガストロリジョン(gastro region)」は「食は風土と一体」を哲学とした草の根的な活動です。「産土」の価値観を通して料理人の目が届く範囲、風土を共有する100キロ圏内の信頼で結ばれた生産者の食材のみを使い、その個性を最大限に引き出した創造的な料理の提供を目指しています。

 「Gastronomy(食)」と「Region(地域・土地)」を融合させた造語ですが、「Gastro(胃袋)」と「Region(地域・土地)」では「土地の胃袋」という土着の食文化ニュアンスも持ちます。このサイトでは独自の角度から料理を土地・食材・人の絆の体験してとらえたガストロリジョン料理を提供しているお店を紹介しています。

料理の食材距離の感性

生産地に近い店の「郷土料理」「地産地消」であれば、店周辺の土地で育った、または保存された食材を使い、土地伝承の「食材距離が近い食文化」を料理で表現しますが、創造的な料理人やシェフにとっては、料理の可能性を狭める足かせにもなってきました。反対に生産地を持たない都市部の店で、国内外の生産地の食材を使った場合は、遠隔地になるにつれ料理の食材距離の身近かさは消失し、生産地の食文化とのかかわりは希薄になります。

「ガストロリジョン」の活動では、この「食材距離」を料理の大切な感性としてとらえています。ここに視点をおくと、今までできなかった料理人、生産者、食べる人がつながった、流通や消費とは異なった関係性や豊かな物語が見えてきます。

ガストロリジョン5つの基準

料理を土地・食材・ひとの絆から再定義したガストロリジョン5つの基準。活動に参加するお店や料理人の皆さんと共有しています。

1 できるだけ100キロ圏内の産土(生産風土)の近い食材を使う

3 それらを料理人の目が届く範囲内に留め、品質を確実に守る

2 遠隔地であっても、信頼の絆が深く、継続可能な生産者の食材しか使わない

4 それらを食べる人に説明ではなく、物語として伝える努力をする

5 上記の条件を満たした料理を「ガストロリジョン」として表現する

土地、食材、人の絆から産まれる「食は風土と一体」。それは今後、リジェネラティブな農地再生や環境保護、農耕文化の伝承にもつながっていくことにも注目してください。

日本のオルタナティブで独創的な料理店文化の、絶やしてはいけない価値観と感性です。

ガストロリジョン

興味をもった方へ

「ガストロリジョン」は認証制度ではありません、共感していただいたお店や協力者の皆さんに支えられています。

「ガストロリジョン」の言葉を使用するのは自由ですが、互いに敬意をもてる表現を望みます。

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